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研究業績

野崎隆之のページをご覧ください.

研究内容

本研究室では符号理論とその応用を中心に研究をしています. 特に,以下のようなテーマで研究をしています.

誤り訂正符号とは

誤り訂正符号はデジタル情報に生じた誤りを訂正・検出するための基礎技術で, 通信システムや記録システムをはじめとする多くの情報システムで利用されています. したがって,高性能な誤り訂正符号を構成することは,高信頼な情報システムを構築する上で必要不可欠な研究課題です. また,誤り訂正符号の研究には情報数理に関する問題が随所に含まれており, 理学的にも大変面白い研究テーマです.

本研究室では,誤り訂正符号の基礎理論と応用を中心とした研究しております. 特に,次のような目標を掲げて研究をしております.

誤り訂正符号の概要

LDPC符号に関する研究

LDPC符号は高性能な誤り訂正符号として知られており, 1990年代後半から活発に研究がされています. 近年では,LDPC符号は無線通信の規格であるWiMAXや有線LANの規格であるEthernet, ハードディスクなどで利用されており,今後ますますの利用が期待されています.

本研究室では,誤り訂正符号の中でも特にLDPC符号の研究をしています. 最近では,多元LDPC符号の設計を中心に研究を進めております.

噴水符号 ---マルチキャスト通信向けの誤り訂正符号---

インターネットによる動画放送が近年盛んに行われています. しかしながら,ネットワークにおけるパケットロスの影響で, ユーザが動画を見る際にはしばしばコマ落ちが生じてしまいます. 動画放送にはマルチキャストと呼ばれる1対多通信方式が用いられており, パケットの消失を防ぐ何らかの仕組みが必要です. 噴水符号はマルチキャスト向けの誤り訂正符号であり, 符号を利用して消失したパケットの復元が可能です.

本研究室では,既存の噴水符号にシフト演算と呼ばれる単純な操作を組み合わせることで,既存の噴水符号を凌駕する性能を有する符号の開発に成功しました. 最近では,提案した噴水符号に対して,最適な設計パラメタを与えることや効率的な復号アルゴリズムの確立を目指して研究をすすめています.

ストリーミング符号 ---低遅延な通信を実現する消失訂正符号---

遠隔医療や車車間通信およびオンラインゲームなどでは低遅延かつ高信頼な通信システムが必要とされます. インターネットのようなパケットロスの生じる通信状況では,一般に,信頼性を確保する(情報伝達の誤りを極めて小さくする)ほど, 誤り訂正符号による遅延が大きくなってしまいます. したがって,これらの応用においては,信頼性を確保しつつ低遅延な誤り訂正技術が必要となります. ストリーミング符号は低遅延かつ高信頼な通信を実現する消失訂正符号です.

本研究室では,既存のストリーミング符号よりも低遅延な復号処理が可能な符号とその復号法を与えています.

削除訂正符号の構成と解析

通信および記録システムにおいて同期誤りが生じることがあり,送信・記録していたディジタル情報の一部が削除される場合があります. このような誤りに対して頑強な符号を構成するとともにその性質を数理的に明らかにすることを目指しています.